以下、不動産の売主がご年配のときにありがちな話です。
不動産売却の査定依頼があって査定書を作成し、所有者と対面して説明を行った後日のこと。
私へ電話がかかってきて、そのご子息から
「査定書を見ました。その査定額で買ってください。」
と言われました。
しかし、これは市場で売りに出す場合の査定であって、
私は買取りをしていない旨をご子息へ伝えると、
ハシゴを外されたような残念なリアクションを受けました。
特殊需要が期待できたので、その査定書には【通常の査定額】と【上振れを狙えるであろう価格】の2パターンを記載し、
市場で高く売るコツを書いているのですが・・・
聞けば手元に査定書があるというではないですか。査定書をしっかり読まずに早とちりしたのでしょう。
※通常、私の査定書はご年配の方にも読みやすいように大きな字で印字して、簡潔にまとめています。
残念なリアクションを受けて電話を切られそうになったので、すぐさま話を続けました。
・不動産会社の買い取りは、買い叩かれる傾向にあること。
・不動産会社が買い取って何をするかというと、最終的には一般消費者へ売って儲けるということ。
・不動産会社が利益を出すためには、安く買って高く売る必要があること。
・以上を踏まえると、不動産会社に売らずに市場で一般消費者へ直接売った方が、
仲介手数料を支払っても手元に残るお金は多くなるはず。
こう伝えると話を聞いていただける態度に変わりました。
親やその先代から受け継いできた不動産を、無意味に安売りするのは見るに堪えないですよ。
その果実は無関係な第三者ではなく、故人から受け継いだ人が受け取るべきだと考えています。
親から相続した土地の売買代金を現金で受け取り、そのまま持ち帰って仏壇に報告するご年配の方がいましたが、
私もそのような感覚を持っています。
正直、情報格差を利用して私が儲けようと思えば安く買い取れそうなケースはたまにあります。
でも、なんか無理です。普段は見えないものを信じないのですが、故人の視線を感じます。
営業マンや商売人・投資家等を経験していないと、儲ける仕組みはなかなかイメージ出来ないですかね。
例えば、
・○○の先生やセミナーへお金を払って勉強するかを検討する
・○○で本当に儲けている人が教えているなら、何故こんなに手間をかけて人に儲ける手段を教えるのか?
・○○で失敗した生徒・受講者から逆恨みされるリスクを背負ってまでやることなのだろうか?
・もしかして本当は○○で儲からないから「○○を教えるビジネス」で利益を出しているのではないか?
営業マンだったら、畑違いの分野でも、こういう二次的思考の結論に至ろうかと思います。
ただし、二次的思考に染まったら素直さが失われると思うので、どっちが幸せなんでしょうね。人それぞれですかね。
◆最後に、なんか買取業者のことを悪く書いたみたいですけど、
不動産会社へ買取り依頼する売主の大きなメリットと、買取業者が存在している価値はありますよ。
①すぐにお金が必要で一刻も早く現金化したい
→ キャッシュが潤沢な業者さんでしたら可能です。
登記に不備が無ければ2日以内で契約~決済~所有権移転まで出来るのではないでしょうか。
取引関係者「全員」が即行動を起こせば1日で出来るかも知れません。やったことがないので分かりませんが。
市場で売るとなれば最短2カ月ぐらいはかかります。
「物件調査~広告~契約~融資本審査~融資の実行&所有権移転」といった流れになります。
②売るのが難しい不動産を買い取ってもらえる可能性がある
→ ややこしい権利関係の整理、大規模の土地では価格が大きくて売れないけど小分け(分譲)にしたら売れる土地、
接道をクリアできるか怪しい土地等、リスクや手間を取る代わりに安く買い取って、
諸問題を解決後に売却益を得るという不動産会社のメリットがあります。
こういったパターンであれば、みんなWin-Winです。