幽霊を見たことはありますか?
私は一度だけあります。
20歳頃に昼寝していて人生初の金縛りにあった時のことです。
仰向けに横たわる私の1.5m程上を、両腕と下半身がない日本兵が旋回していました。
しばらくして体が動くようになったと同時に幽霊の姿は消えました。
心臓はバクバクしていましたが、その時に幽霊が見える理屈が分かり、スッキリした感覚がありました。
人は恐怖の極限の際に自分が恐れているモノを見るということです(私の場合は金縛りがきっかけになった)。
私が幼い頃に親戚の家で恐る恐る読んだオカルト系雑誌。心霊写真特集の中で一番怖くて衝撃を受けたのが、サイパン旅行の記念写真に写る両腕と下半身がない日本兵でした。
それが恐怖の原体験となり、十数年の時を経て金縛り状態の私の目の前に現れたわけです。
そんな話をお客様と話していたら、「人は自分が理想とする幽霊像を見る」というお客様の名言が出ました。
あまりにも的確な表現で笑っちゃいました。
たしかに、原始人の幽霊って聞いたことないですよね。
せいぜい過去に遡っても戦国時代の落ち武者ではないでしょうか。
しかし、戦国時代の農民の幽霊って聞いたことはありません。
沖縄だと芭蕉布をまとった幽霊の話ってないですよね。
幽霊は自分がイメージしやすい姿をしているはずです。
こうあって欲しいという姿で目の前に現れるのではないのでしょうか。
●余談
東京の下町で働いていた時に、異様に事故物件を気にするお客様を接客しました。
こちらが提案する度に事故物件じゃないよね?と聞いてくる方でした。
そのお客様が希望するエリアは、関東大震災で85%が焼失し、東京大空襲でほぼ全焼したエリアでした。
そんなに気になるならこのエリアはダメでしょとツッコミたかったのですが、それを言うとトラブルになりかねないので自重しました。
●余談2
不動産業界には「生きている人間の方が怖い」という格言があります。
賃貸管理会社の方の大半はそう実感するのではないでしょうか。
幽霊よりも、幽霊が部屋にいると訴えてくる人の精神状態の方が怖いです。
私が知っているケースだと、幽霊が見えると騒ぎだして本土の実家へ戻り、帰ってきた2カ月後には攻撃的な性格になっていました。
服装も派手な色使いに変わって、心理学の先生に聞くと、それは攻撃性の発露ではないかとのことでした。
●余談3
私は目に見えないものは信じませんが、あえて信じるという態度を取っています。
故人からの視線を感じて生きています。
なので、悪いことをしているつもりはありません(生きている以上、誰かを不快にしたり迷惑をかけているかと思いますが)。
宗教を持たないので自分を律するためにも必要な概念かと考えています。
水木しげるさんが語った幸福の七カ条に、「目に見えない世界を信じる。」というものがあります。
片腕を失う程の死線を生還し、ゲゲゲの鬼太郎で沢山の妖怪を描いた方が語る言葉です。この言葉を大切にしています。
●余談4
二度目の金縛りの時は幽霊が現れませんでした。おそらく、幽霊が見える理屈が分かったからでしょう。
ちなみに、同級生が金縛りにあったときは、壁からピエロの上半身が出てきて腹筋をしていたそうです(笑)
これはIT(イット)というホラー映画のピエロだと思います。その同級生と一緒にその映画を見たことがありますから。
同級生にとってはそれが理想の幽霊像だったのでしょう。