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「仲介手数料を高くしたいから物件価格を吊り上げる理論」は浅はか

とある個人売買サイトで不動産情報が載っています。いろいろコメントを見ていると、「不動産屋から買うと高いから個人が売物件を出しているこのサイトは魅力的」のような趣旨のものがありました。自分達でいろいろ解決できるなら良いことではないでしょうか。人に頼らず、人のせいにせず、リスクを受け入れ試行錯誤しながら前に進む精神は尊いですよ。

 

「不動産屋から買うと高い」というのは、仲介手数料がかかる点で売買経費が上がるのは確かです。

 

「不動産屋が儲けようとして高く値段を付けている」というコメントは半分正解・半分間違いです。

転売目的の不動産屋が売主なら、価格を吊り上げる動機はあります。これは正解。うざいですよね。これは敵視されても仕方がないと思います。

一方、仲介で預かった物件の値段を吊り上げる動機は私にはありません。よく売主さんからも「高く売れた方があなたも手数料が増えて嬉しいでしょ」と言われますが、いつ売れるか分からないものを当てにするよりも、安くても2カ月以内で決済が見込める方が嬉しいです。

(具体例)

・5,000万円で売れた場合 → 仲介手数料1,716,000円 両手仲介なら3,432,000円

・1億円で売れた場合 → 仲介手数料3,366,000円 両手仲介なら6,732,000円

 

極端な話ですが、成約価格が2倍変わると上記のようになります。いつ成約するか分からない後者よりも、即決済できるなら前者が断然嬉しいです。いわゆる「仲介手数料を高くしたいから物件価格を吊り上げる理論」は成立しないと考えます。成約すると、買主さんが持っている不動産の売却を手伝うことに繋がったり、顧客を紹介してもらえたりといった波及効果もあります。どれだけ物件を預かろうが、成約するまでは絵に描いた餅ですからね。絵に描いた餅で飯は食えません。成約してなんぼですよ。

 

(余談)

私の場合は、売主さんに安売りをさせたくないので、基本的には「相場価格」と「上振れを狙えそうな価格」の2パターンを提案しています。故人の視線を感じながら生きている私にとって、祖父母から受け継いできた不動産を安売りさせる動機はありません。特に、古くからある集落には、戦争から生き残り守ってきた土地もあります。仏壇を前にして安売りを提案できますか?安く売らせようだなんて罰当たりだと思いませんか?