気が付けば今年に入って11日が経過しました。夜は犬と暖を取りながら読書の日々でした。読書は半分趣味、半分仕事(インプット)です。
石原慎太郎さんの「天才」と「ある漢の生涯 安藤昇伝」は一人称で語る自伝風な本で、内容が面白く一気に読めました。石原さんの著作は「法華経を生きる」・「老いてこそ人生」・「「私」という男の生涯」を読んだことがあります。小説はほぼ読まないので石原さんの小説は今回の2冊が初めてでしたが、あれだけ立ち止まることなく自然な流れでスラスラ小説を読めたのは初めてでした。政治家としてのイメージが強かったですが、作家として世に出た人ですからね。あんな文章が書けたらなと憧れました。
國分功一郎さんの「暇と退屈の倫理学」も読みました。人間、暇が一番つらいというのはずっと思っていて、パートを辞めると宣言した母にも言ったことがあります(1カ月後に職場復帰していました)。人間はずっと何かしらの行動をしているのが心地良いという点を人類学的な視点で書かれた箇所が面白かったです。私が不動産業界へ飛び込んだのは、一生できる仕事と考えたからです。オジーが一人でもやっているじゃないですか。あぁいう感じに憧れています。生涯現役を目指しています。
傑作だったのは「安倍晋三回顧録」です。
相当な読み応えがありました。主に第2次政権期間中の出来事を年毎に振り返りインタビュー形式で語るという本です。報道では出ない各国要人の人となりが分かるエピソードもあって単純に読むだけでも面白いです。私の読み方は相変わらず、人生・仕事に活かせそうな言葉にアンテナを張りながらの読書でした。印象深かった言葉を3つピックアップします。
批判も多かったコロナ禍の一斉休校について
「休校を決めるだけのエビデンスがないとも言われましたが、世界中、初めて感染する病なのだから、そんなものがあるはずがない。だったら政治家がリスクをとるしかないでしょう。」p.40
→ 外野が批判するのは簡単です。結果はどうあれ、実際に事に当たる当事者の決断は尊重されるべきと考えます。何をやるにしても反対意見・批判があるのが政治ですが、身の回りの人間関係でもそうです。他人の意見も聞きますが(あまり聞きませんが)、自分の人生を誰かが責任を取るわけではありませんから、決断は必ず自分。他人の意見に流されて他人のせいにしたくありません。釣りで海の中は何も見えないのに試行錯誤しながら魚を狙うのと同じで、人生もよく分からない状況のなか手探りで決断し前に進まなければなりません。
米議会での演説
「演説の冒頭、祖父が行った演説に触れたのですが、ここだけは完全に覚えて、原稿を見ないようにしたのです。最初に勝負をして、うまくいっていると自分に言い聞かせるのが大事ですから。」p.157
→ 勝負所を最初に持ってくるという考えを今後何かに活かせそうです。もしかするとこれまで無意識にやってきたかも知れませんが、言語化していただけたのは今後の自分の大きな財産になると思います。繰り返しこの言葉を味わいます。
通算在任日数が桂太郎首相を抜き歴代最長になったことを受けて
「ある種の運も必要です。絶対にチャンスを逃さないというつもりで、運をつかみに行く。そして手放さない。後ろに引いたら、一瞬で終わりです。」p.363
→ 任期中はいろんな人から袋叩きにあって、あまりにも目に余るのでテレビの報道を見ることを完全に止めました(その他にも義憤を煽るような報道が多過ぎて)。あれだけの妨害にも関わらず総裁選3回・国政選挙6回を勝ち続けて7年9カ月もの長期政権を築いたのは並大抵ではありませんよ。私は独立してからこれまで4年8カ月になります。売り上げは全然大したことはありませんが、仲介だけでずっと黒字できました。しかし、先行きが見通せない要素が増えてきたので会社を閉めた方がいいかなと考えたこともあります。その時の突破口になったのは、辞めようか一人で悩んでいる時にピンポイントで仕事をいただいた同業者の大先輩。その仕事をこなしているうちに別の仕事が続けて舞い込み、まだまだ戦えるという感触を得ました。仕事をくださった大先輩。あのタイミングは完全に運でした。それとも何か虫の知らせのようなものがあったのでしょうか。いただいた仕事の途中で急きょ入院しそのまま亡くなられたので、直接感謝を伝えられなかったのが心残りです。
今は「ゲーテとの対話」を読んでいます。上中下3巻のボリュームにめまいがします。読了まで3カ月ぐらいかかるのではないでしょうか。尊敬する水木しげるさんが戦場に持ち込んだ程の良本ということで、これは読まねばと買ってみたもののボリュームのやばさで数カ月放置していました。今後の仕事の量次第で読了までかなり時間を要すかも知れませんが、どんな日でも最低1日3ページだけでも前に進めたらと考えています。