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賃貸物件の連帯保証人について

沖縄の地場の不動産業者を通して賃貸物件を借りるときには、

ほぼほぼ保証会社への加入をお願いされると思います。

 

そこまではお客様にご理解していただくことが多いのですが、

加えて連帯保証人もお願いすると、たまにお客様からお叱りをいただくことがあります。

特に県外の方からが多いです。

 

保証会社を付けて家賃滞納リスクを低減しているはずなのに連帯保証人も付けるとは過剰では?

というのがお怒りの理由だと思います。

たしかに、身内にお願いするにしても連帯保証人をお願いするのは負担に感じます。

出来ることなら連帯保証人不要で保証会社加入だけで済ませる方がいいですよね。

私もそう思います。

 

しかし、連帯保証人不要のまま契約をして、もし契約者ご本人がお亡くなりになった場合、

ご遺体の引き取り・遺品整理という現実に直面したときを想像してみてください。

こういったことは家族にしか出来ないですよね・・・

遺品を処分したら後で現れたご遺族に抗議を受けるでしょうし、

遺品を保管するにも場所を確保したり、それを何年も持ち続けるかも知れないことを考えると・・・私には無理です。

ご遺族・相続人がすぐに現れていただけるとよいのですが、家族関係が破綻していて来ないケースもあるかと思います。

そこで連帯保証人です。連帯保証人であれば法的拘束力がありますから、事に向き合う責任が生じます。

 

保証会社と交わす「保証委託契約」が連帯保証人不要だとしても、

家主と交わす「建物賃貸借契約」では連帯保証人をお願いしたい理由は、

家賃滞納時のリスク管理もそうですが、賃借人死亡時のリスク管理が大きな理由です。

ちなみに、連帯保証人を他人ではなく身内に限ることが多いのはそういう側面が大きいです。

私は売買メインの業者なので賃貸の管理物件はありませんし、今後管理するつもりもありませんが、

管理会社の立場でしたらきっと私も連帯保証人をお願いする方針にします。

 

あくまでも上記は不動産業者・貸主側のポジショントーク的な主張です。

個人的には将来家余りの時代が加速したら、借主に負担の少ない連帯保証人不要の取引が

優位になり一般的になると予想しています。

家余りの加速と同時に、独身の方が増え少子化で兄弟姉妹も少ないですから

連帯保証人を頼める人が限られてくると思います。

貸主・不動産業者には辛いところですが、借主にとってはいい時代になると思いますし、その方がいいかなと思います。

 

もし、保証会社+連帯保証人の条件にご納得いただけないようでしたら、

不動産業者を介さずに自主管理・募集をしている大家さんに直接あたってみる方法もあります。

そういうアパートは保証会社を使っていないケースがあります。

そうすれば連帯保証人をお願いするだけで契約は済みます。

見つけるのは手間がかかりますが、そういう方法もあります。

あまり知られていない情報だと思いますので提供しました。

 

連帯保証人不要で保証会社のみで契約したい場合は、

大東建託さんやレオパレスさんなら対応していますが、

沖縄の地場の不動産業者で探すのは難しいと思います。

境界・測量の話

不動産売買においては基本的に土地の測量は売主負担で行いますが、

なかには売主が測量を行わないケースもありますので、

個別案件毎に測量を入れるのかを確認した方がいいですね。

同じ不動産屋から募集に出ている物件でも物件Aは測量済で物件Bは測量無しということがあります。

売主が異なりますので個別案件毎に確認が必要です。

 

売主が測量を入れないケースで主なものは、取引価格に対して測量費用が高いケースですね。

100万円以下の土地を20~25万円かけて確定測量しても、あまり売るメリットがないというか、

売主の手取りがかなり少なくなります。

実際にあったケースで、広大な山林の売買で、測量代の見積額が700万円以上というのもありました。

当該山林の隣地も山林であるわけで、大金をかけて正確に測量することにどれだけ意味があるのかというと疑問でした。

 

測量にもいろいろ種類がありますが、

①土地家屋調査士による測量であること

②境界確定測量(隣接地主の署名・捺印取得済み)であること

不動産取引においてこの2点をクリアできていれば境界トラブルのリスクは減らせます。

それ以外の場合はご用心ください。

山林等のアバウトな境界確認でよければ上記2点はクリアしてなくてもいいと思います。

 

◆越境について

本部町で実際に目にしたケースですが、国道の敷地に家の一部が乗っかっているのを見たことがあります。

バス停を作るときに発覚したそうで、結局バス停は他の場所に作っていました。

他社さんのケースでは、隣人の敷地の上に売却する家が越境していたそうです。

 

こういう場合、どのように解決するのかに興味があります。

まずは越境した側が測量結果に納得するのかどうか。

「祖父母の代からこの石からこの木までが我が家の敷地と聞いてきた」方からすると、

何十年も信じてきたことが急に覆されるわけですから、到底納得してもらえないのではと思います。

測量と法律の専門家である土地家屋調査士の客観的な測量結果と、地主さんの認識をどのようにすり合わせていくのか・・・

一度勉強でついていきたいものです。

 

売買物件の取引の流れ

売買物件の「所有権移転・物件引き渡しまでの流れ」については、

下のURLにまとめています。よかったら参考にしてください。

不動産取引の全体像って分かりにくいですよね。

なお、これは基本的な流れですので、細かいところ・諸条件は個別案件により異なりますので、

あくまでも参考として見てください。

http://beach2103.com/wp-content/uploads/document/flow-of-ownership-transfer.pdf

 

不動産取引は最後の最後まで気が抜けないものです。

私は【所有権移転・残代金決済・物件引渡し】を終えるこの瞬間まで、

取引が成立しない可能性があることを念頭に置いています。

売主にしても買主にしても不動産取引は多くの方にとっては一生に1~2度というものなので想像しづらいかと思いますが、

取引が不成立に終わるケースが多々あります。その一部を紹介したいと思います。

 

まず、物件を購入したいと決めたら購入希望者から

「買付証明書(購入申込書)」を売主に対して提出します。

その際に基本的な条件がまとまれば【契約手続き】へ進みます。

買付証明書の提出で売主も買主もまず一段落といったところかと思いますが、

不動産取引の完結までは、まだまだ序の口です。

 

ポイント① 契約締結前

【契約手続き】を済ませるまでの間に、売主が他の購入希望者と話を進める可能性があります。

例えば、より良い条件で購入を希望する方が現れた場合です。

契約手続き前だと法的な効力はありませんし、この時点では誰に売るかを決めるのは売主に権利がありますので、

他の方に売ることになったからといって売主に責任を追及することは基本的に難しいと思います。

 

逆に購入希望者の都合で話が流れる可能性もあります。

他に良い物件が出たということでキャンセルのパターンが一番多いでしょうか。

健康診断で引っかかって団信が通らないであろうということで断念したケースもありました。

購入希望者が逮捕されたということもありました。しかし、このときはかえって契約手続き前でよかったと思いました。

契約締結後ですと違約金で解決となりかねないケースでしたので。

 

無事に【契約手続き】を済ませましたら、【所有権移転・残代金決済・物件引渡し】までの間に

いろいろ準備をする時間があります。

代表的なのは融資の審査ですが、他にも農地転用や売買対象が売主自宅なら引越し、境界復元測量等です。

 

ポイント② 契約締結後

融資が通らないケースがあります。この時は融資特約を契約書に盛り込んでいることがほとんどだと思いますので、

基本的には白紙解約で手付金は無利息で全額返戻しなければなりません。

売買当事者の一方どちらかが一方的な理由で解約を申し出る場合は、手付金の分で責任を取るかたちで解決となります。

例えば、他にいい物件が出たからといって買主がキャンセルする場合は手付金を放棄しなければなりません。

売主がもっと高く売れると第三者の意見を聞き入れて手付金を倍返しして解約したこともありました。

このとき買主は「道義的にどうなのか?」という気持ちになるかと思いますが、

これは売主の「権利」を行使したまでなので、基本的に売主の責任は追及できません。

 

しかし、契約の進捗状況次第では手付金の放棄または倍返しが不可となり、違約金で解決することもあります。

幸いにも私はまだ違約金で解決するケースには遭遇したことがありませんが、あまり想像したくないですね。

【契約締結後】は法的な効力が及びますので、何らかの責任が確実に生じます。ここが【契約締結前】との大きな違いです。

 

ポイント③ 所有権移転・残代金決済・物件引渡し

諸々進んで【所有権移転・残代金決済・物件引渡し】の日、

やっとこの日が来たと当事者全員が思うのが普通だと思いますが、

その当日に取引が不成立に終わったというケースを聞いたことがあります。

自宅を売却する売主さんが土壇場になって「思い入れのある家なのでやはり売れません」ということで

大どんでん返しとなったそうです。違約金で解決したそうです。

 

数年前に東京で63億円を騙し取られた地面師事件では、売主が偽物でした。

恐ろしすぎて考えたくもないですが、いろいろなことを想定しながら仕事をしないと

結果的にお客様に迷惑をかけることになりますから、

しっかり自分の目で確かめて、極力一次情報に当たることを心掛けています。

 

天変地異や戦争等で取引が成立しないことも想定されますが、これは極論ですね。

 

不動産売買は一筋縄にはいきません。ストレートに話が進むことはほとんどありません。

私の願いは「安全な取引の実現」であり、それが不動産仲介の真髄かと思います。

【留意点】自然公園法の制限について

やんばるには風光明媚な場所が多く、当社で募集広告を出している売地も複数あります。

綺麗なところには付き物の「自然公園法の制限」ですが、

制限を知らずに買うと実は希望の使い方が出来なくて後々泣きを見ることになりかねないのでご留意ください。

原状回復を命じられることと、罰則の可能性もあります。

 

制限の代表的なものとして、隣地・道路から建物を5m以上離さないといけません。

ということは、土地の幅が10mを切ると建築できるスペースがありません。

第2種特別地域では、一定の要件を満たさない自宅や集合住宅・ホテル等を造るときは

建ぺい率が10~20%・容積率20~40%となります。

※「一定の要件を満たした自宅」に関しては建ぺい率・容積率・外壁後退の制限を受けません。

 

以下に情報ソースをまとめましたので、自然公園内の物件売買を検討している方は

参考にしていただけたらと思います。

 

●自然公園法施行規則第11条(基準部分)引用関係整理表

https://www.pref.okinawa.jp/site/kankyo/shizen/koen/documents/shizennkouennhousekoukisoku.pdf

↑ 細かい内容は上のリンクからご確認ください。

 

●自然公園法の条文

https://www.env.go.jp/nature/np/law/newlow_all.htm

↑ 原状回復の命令に関することや罰則等が記載されています。

 

沖縄海岸国定公園区域図

https://www.pref.okinawa.jp/site/kankyo/shizen/koen/kaigannkokuteikouen_kuikizu_hogokiseizu.html

↑ 自然公園法による制限の対象地図です。

 

◆この記事の内容は2020年9月13日現在の法令を基にしています。

 法令の改正や、制限の強化・緩和等があるかも知れませんし、

 土地の用途により制限の内容が変わります。

 最新かつ確実な情報は「県庁環境部自然保護課自然公園班」へ問い合わせる等、必ず一次情報にてご確認ください。

 

下はすべて第2種特別地域の写真です。制限はいろいろありますが、それだけ美しく守りたい自然が身近にあるということなので、うまく自然と調和しながら活用していただくことを願っております。

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