私を悩ます「評価額」という言葉があります。
役所から毎年届く固定資産税の納税通知書に書かれている「評価額」というやつです。
役所の窓口で取得できる固定資産評価証明書・公課証明書にもその「評価額」が記載されています。
不動産業者の立場から言うと、「評価額」という表現は大きな誤解を生み、不動産の売主が損をすることがあるので、
表現を変えるべきだと考えます。
以下は実例ですが、「評価額」と売却額に大きな乖離がありました。
結論から言うと、3,900万円で売却できた土地は、「評価額」が1,113,542円でした。
実に35倍の開きがありました。
このケースでは、かつて家が建っていた土地を更地にした後、長年畑として利用していました。
台帳地目・登記地目は「宅地」ですが、課税地目が「一般畑」となっているので、
「評価額」がめちゃくちゃ安いというわけです。
しかし、少し整地すれば家が建つ土地で、法的にも建築が可能でしたし、
住宅街にポツンと取り残された更地で需要が旺盛な地域だったので、
過去の取引事例よりも少し高い価格で売れました。
で、何が問題かと言うと、役所が言う「評価額」を【売買するときの妥当な金額】
と誤解する方が世の中にはいるということです。
●売主サイドの誤解が生む悲劇
誤解したまま売ってしまうと、大損します。
上記の例で1,113,542円で土地を手放したとしたら、
本来得るべきだった金額を知った時には愕然とするでしょうね。
何せ35倍ですからね。
●買主サイドの誤解が生む悲劇
個人間取引で多いのですが、「役所の評価額が●●万円だから売主の売却希望額●●●万円は不当に高過ぎる!」
と思って私にこの額が妥当かを相談してくる方がたまにいます。
相談者に「市場に出すとそのぐらいの価格で売れそうだから妥当な金額だと思いますよ」と伝えると
納得いかない様子で帰っていく方もいました。
その方は自分に都合の良い回答が得られなかったので「やっぱり不動産業者はクソ!」と思っていたかも知れません。
役所の「評価額」が妥当でしょと言うなら、墓地はゼロ円、宅地に転用できる畑は農地価格で取引されるべきです。
それっておかしいですよね?
◆このバグを突いて儲けを狙う人が世の中にはいるので気を付けてくださいね。
不動産業者は基本的には消費者である買主保護に動きますが、このようなケースでは売主保護に動きますよ。
情報弱者から情報格差を利用して儲ける話は見過ごせませんよ。