これは声を大にして主張したいことなのですが、
田舎の土地探しは以下のことに注意を払ってご見学することをおすすめします。
物件広告の写真や航空写真、ストリートビューで事前に分かることもあります。
【やんばるの土地探しあるある】
①上水道本管までの距離が遠い
これが一番です。引込み工事代で1mあたり2.5万円(※目安です。現場の状況やその時の相場により金額が左右されます。)
だとしたら、500m引き込むと1,250万円。土地代より高くつく恐れがあります!
都会ではインフラが整っていて当たり前という感覚があるかと思いますが、
田舎でそれは通用しません。
田舎、特に山の中は上水道が通っているかは必ず確認してください。
都市部が如何にお膳立てされてインフラが成り立っているのかを実感するはずです。
個人的にも土地を探していて安い土地をネットで見つけて色めき立ったものの、
水道が周辺に敷設されてなくてガッカリ・・・というパターンが多いです。
●水道が敷設されているかどうかの簡単な見分け方
①周辺に家や建物がなかったら、そこはほぼ水道が未整備です
②道路のアスファルトに細長く長い距離を工事した形跡がある → 道路開通後に水道を敷設した可能性あり!
水道が近くまできていたら先人に感謝しましょう!
②街灯が無くて夜が暗い
物件を見学するときは日中がほとんどだと思います。
見落としがちなのですが、土地の前や周辺道路等に街灯があるかも見てください。
田舎で生まれ育った私としては夜に周辺が暗いのは当たり前ですが、
都市部から来た方には不安を覚える方もいらっしゃるかと思います。
ちなみに、街灯は大体において字(自治会)が設置して電気代を負担しています。
予算に限りがありますから、基本的に住宅街にしか街灯はありません。
山の中に街灯はありません。
その反面、都市部に比べ夜空に見える星の数が断然多いですよ!
やんばるの多くの場所では肉眼で天の川も見えます。
③「がけ」に接している
やんばる(漢字で書くと山原)と言われる通り、起伏が激しい地形が多いので、
当然がけに接している土地も多いです。
その際は擁壁設置やしかるべき措置を行わないと建築が出来ない恐れがあります。
下手したら擁壁工事代だけで1,000万円オーバーすることも・・・
下のURLにて、がけ条例の概要をまとめています。
http://beach2103.com/wp-content/uploads/document/cliff-regulations.pdf
中古建物を買う時も注意が必要です。
建築時に擁壁工事をしなくて既存不適格となっている建物が散見されます。
今は緩かった時代とは違いますから、再建築時には擁壁工事を要する恐れも
想定しながら高低差に注意を払ってください。
大まかな地形をネットで事前に知る方法を下のリンクにまとめました。
よろしければ参考にしてください。
地形を事前に知りたい
④自然公園法の特別地域に入っている
やんばるの西海岸沿いや本部町・今帰仁村の山間部、つまり風光明媚な場所は自然公園法の制限を受けている可能性が高いです。
詳しくは下のリンクにまとめています。
【留意点】自然公園法の制限について
⑤防災無線のスピーカー
これも都市部から来ると馴染みがないかも知れません。
周辺の電柱や公共の建物にスピーカーがないかを見てください。
多くは朝7時、お昼12時、17時の定時チャイムが鳴ります。
また、公民館や役場からのお知らせが不定期であります。
災害時に危険を知らせる目的のものなので音がうるさくて当たり前です。
向きを変えることも当然できません。
県外から移住してきて防災無線がうるさいと苦情を入れた人の話を聞いたことがありますが、
向きを変えたら、例えば避難喚起の放送が本来届く所に聞こえなくなったら大変ですよ。
⑥周辺に家が一軒も無い
検討中の土地周辺に建築物が無い場合、何らかの建築制限があることを疑った方がいいです。
多くの場合は建築が出来ない制限があります。
代表的なのは農振農用地区域です。農業以外の活用が出来ません。
あとは、単純にインフラが届いていないから誰も家を建てていないパターンがあります。
⑦通信環境が脆弱
現地へ行ったときは、必ず携帯電話の電波が入っているかをご確認ください。
できれば家族や友人にその場で電話をして通話が問題ないかを確かめてください。
あと、ネットも問題なく利用できるかも確かめてください。
山が邪魔して電波が届かない場所が多数あります。
光回線が未整備の地域があります。
整備状況はNTT西日本のサービス提供エリア確認のページ(下のURL)から確認できます。
https://flets-w.com/cart/?etc_data_kks=kantan%3D1%40
名護市内でも意外なところが未整備だったりしますから、ご留意ください。
TVアンテナもご留意ください。
山が邪魔して映らない箇所が多数あります。
周囲の地形を見て山が近くにあればTVが映らないことを想定してください。
集落内であれば地域の共同アンテナから線を引くパターンがあります。
その場合は大抵は公民館が相談窓口です。
光回線が整備されている地域でしたら、ひかりTVと契約する方法もあります。
⑧本土に比べて湿気が多い
やんばるに限らずですが、とにかく本土とは気候が異なります。ほぼ外国と考えてください。
湿気については本土の感覚で過ごしていたら革製品は全てカビが生えます。
換気・エアコン等で湿度をコントロールしてください。
⑨虫がいっぱい
言うまでもありませんが、虫がいっぱいいます。
・雨が降り続けるとアリの巣が水没するので、
逃げ場を求めて室内に入ってくることがあります。
定番の駆除商品である程度対処できます。個人的にはアリの巣コロリがおすすめです。
・梅雨を迎えたら羽の付いたシロアリが一斉に飛び回ります。
羽付きのシロアリがいるからといって建物に定着しているわけではありませんので、
パニックにならないでくださいね。それでも怪しいと思ったら駆除業者へ相談してみてください。
・山間部はヤスデが大量発生することがあります。
ホームセンターで売っている駆除剤である程度対処できます。
・沖縄のゴキブリは本土よりも大きいです。
人間の住むところにはどこでもいます。
定番の駆除商品等で対処しましょう。
これらの虫はサッシの隙間や換気扇、エアコンのダクト等から室内へ入ってきますので、
防ぎようがありません。駆除しながらも、自然と付き合っていく心構えが必要です。
⑩ハブがいる
日常生活で見かけることはほぼありません。
なので、必要以上にビビることはないかと考えます。
私は40年以上生きてきて、日常生活で生きているハブと出くわしたのは2回だけです。
1回目は自宅外の柱を登っているところで、2回目は川に遊びに行ったときにハブも河原で涼んでいました。
見かけるパターンとしては、こんな感じです。
①車にひかれて路上で死んでいる
②外に置いている物を移動するときに隠れていたのが出てきた
③草刈りのとき
ハブが隠れそうなところに注意すれば、出くわすことはほぼありません。
これら以外にもいろいろ注意を払うことはあります。
例えば、
・盆地で真ん中に川が通っていたら、異常気象時には川が氾濫する恐れがあります。
・畑で野菜を育てていたらイノシシに掘り返されることもあります。
・路線バスが通っていない、もしくはバス停まで遠すぎる。
・地域にスーパーが無い。
書くとキリがないので、このへんでおしまいにします。
地形・インフラ・周辺環境はよく観察して見学することをおすすめします。
◆最後に!
いろいろ注意点を書いてきましたが、もちろん素晴らしい点も沢山あります。
やんばるに不動産を買おうとしている方は、やんばるが大好きで何度も訪れている方が
多いでしょうから、それは百も承知かと思います。
私は国頭村の山のふもとの水が湧き出るところで育ちました。
夜は虫やカエル、フクロウ等の鳴き声を聴きながら眠りにつき、
朝は鳥のさえずりで目覚めるという生活を送ってきました。
県内・県外の都市部でも生活してきましたが、やんばるでの生活が一番です。