売買物件の「所有権移転・物件引き渡しまでの流れ」については、
下のURLにまとめています。よかったら参考にしてください。
不動産取引の全体像って分かりにくいですよね。
なお、これは基本的な流れですので、細かいところ・諸条件は個別案件により異なりますので、
あくまでも参考として見てください。
http://beach2103.com/wp-content/uploads/document/flow-of-ownership-transfer.pdf
不動産取引は最後の最後まで気が抜けないものです。
私は【所有権移転・残代金決済・物件引渡し】を終えるこの瞬間まで、
取引が成立しない可能性があることを念頭に置いています。
売主にしても買主にしても不動産取引は多くの方にとっては一生に1~2度というものなので想像しづらいかと思いますが、
取引が不成立に終わるケースが多々あります。その一部を紹介したいと思います。
まず、物件を購入したいと決めたら購入希望者から
「買付証明書(購入申込書)」を売主に対して提出します。
その際に基本的な条件がまとまれば【契約手続き】へ進みます。
買付証明書の提出で売主も買主もまず一段落といったところかと思いますが、
不動産取引の完結までは、まだまだ序の口です。
ポイント① 契約締結前
【契約手続き】を済ませるまでの間に、売主が他の購入希望者と話を進める可能性があります。
例えば、より良い条件で購入を希望する方が現れた場合です。
契約手続き前だと法的な効力はありませんし、この時点では誰に売るかを決めるのは売主に権利がありますので、
他の方に売ることになったからといって売主に責任を追及することは基本的に難しいと思います。
逆に購入希望者の都合で話が流れる可能性もあります。
他に良い物件が出たということでキャンセルのパターンが一番多いでしょうか。
健康診断で引っかかって団信が通らないであろうということで断念したケースもありました。
購入希望者が逮捕されたということもありました。しかし、このときはかえって契約手続き前でよかったと思いました。
契約締結後ですと違約金で解決となりかねないケースでしたので。
無事に【契約手続き】を済ませましたら、【所有権移転・残代金決済・物件引渡し】までの間に
いろいろ準備をする時間があります。
代表的なのは融資の審査ですが、他にも農地転用や売買対象が売主自宅なら引越し、境界復元測量等です。
ポイント② 契約締結後
融資が通らないケースがあります。この時は融資特約を契約書に盛り込んでいることがほとんどだと思いますので、
基本的には白紙解約で手付金は無利息で全額返戻しなければなりません。
売買当事者の一方どちらかが一方的な理由で解約を申し出る場合は、手付金の分で責任を取るかたちで解決となります。
例えば、他にいい物件が出たからといって買主がキャンセルする場合は手付金を放棄しなければなりません。
売主がもっと高く売れると第三者の意見を聞き入れて手付金を倍返しして解約したこともありました。
このとき買主は「道義的にどうなのか?」という気持ちになるかと思いますが、
これは売主の「権利」を行使したまでなので、基本的に売主の責任は追及できません。
しかし、契約の進捗状況次第では手付金の放棄または倍返しが不可となり、違約金で解決することもあります。
幸いにも私はまだ違約金で解決するケースには遭遇したことがありませんが、あまり想像したくないですね。
【契約締結後】は法的な効力が及びますので、何らかの責任が確実に生じます。ここが【契約締結前】との大きな違いです。
ポイント③ 所有権移転・残代金決済・物件引渡し
諸々進んで【所有権移転・残代金決済・物件引渡し】の日、
やっとこの日が来たと当事者全員が思うのが普通だと思いますが、
その当日に取引が不成立に終わったというケースを聞いたことがあります。
自宅を売却する売主さんが土壇場になって「思い入れのある家なのでやはり売れません」ということで
大どんでん返しとなったそうです。違約金で解決したそうです。
数年前に東京で63億円を騙し取られた地面師事件では、売主が偽物でした。
恐ろしすぎて考えたくもないですが、いろいろなことを想定しながら仕事をしないと
結果的にお客様に迷惑をかけることになりますから、
しっかり自分の目で確かめて、極力一次情報に当たることを心掛けています。
天変地異や戦争等で取引が成立しないことも想定されますが、これは極論ですね。
不動産売買は一筋縄にはいきません。ストレートに話が進むことはほとんどありません。
私の願いは「安全な取引の実現」であり、それが不動産仲介の真髄かと思います。