過去の大らかな時代の物事の後始末をやることが多いです。
いろんな矛盾を解決していくのが不動産屋の仕事ではあるのですが、
法的な話とは別に「個人の感情」が絡んでくることが多いので、
ほんと、一筋縄ではいかないことだらけで疲れます(›´ω`‹ )
いまを生きる皆様、子孫への宿題を残すのはやめにしましょう。
未来の世代が難儀して苦しむことに繋がります。
どんなことがあるか例を挙げます。
①越境
・古くからある集落の古いブロック塀は越境していることが多いです。
どちらか一方が越境の場合や、お互いに越境し合うパターンもあります。
・お互いに納得して新たに境界を決めたが口約束だけで済ませて分筆しなかったがために、
公図・登記簿に反映されていないケースが過去にありました。
境界を決めた当事者は既に全員故人であり、非常に頭を悩ませましたが、わずかな面積でありましたし
わざわざ分筆登記せず越境部分を事実上買い取った形にして解決しました。
双方の遺族がとても紳士的な方々でしたので穏便に解決出来ましたが、
ちょっとでもごねる人が関わったらまとまらなかったと思います。
・過去に国道の範囲に建物が乗っているのを目撃したことがあります。
取引に関わったわけではありませんが、怖くて考えたくもないです。
・地面に接するところだと分かりやすいのですが、見落としがちなのが空中越境!
アルミ格子・エアコンの室外機・屋根のひさし等にも注意を払う必要があります。
②相続登記を行っていない
・不動産を売りたくても相続が出来なくて売れない・・・そんな悩みを抱えている方は多いと思います。
昔の人は兄弟姉妹が多く、移民で海外へ渡ったケースも多いので、
時が経つほど相続人が増えて散らばるので、話がまとまらなくなります。
相続人の数が5人ぐらいから「もしかすると話がまとまらないだろうな・・・」という予感がしてきます。
20名以上なら、もうまとまらないでしょう。相続人本人だけではなくその配偶者・子らの意向
もあったりしますから。
・相続登記の義務化が2024年をめどに法整備されそうなので、解決できる不動産が少しでも増えたらと願います。
③所有権移転登記を行っていない
・口約束だけで土地を売買したり、酒と土地を交換したという話を聞いたことがあります。
・相続した自分名義の土地に誰のものか分からないお墓がいっぱい・・・というケースを複数見てきました。
まだ誰のお墓かが分かればいいのですが、所有者不明のお墓は非常に困ります。
遺族・関係者が長年訪れていないお墓は草木が伸びたり荒れているので見れば分かります。
法的手続きを踏めば改葬できるのですが、誰のものか分からないお骨を改葬するのは気が重いですよ。
④旧建物の滅失登記を行っていない
・このケースも非常に多いです。一見更地でも登記上は建物が残っているので、
建築するときに建ぺい率に影響が出るおそれや、さいあく建築確認が
取れない・融資が下りないことも予想されます。
・建物を取り壊した経緯を知る人物が全員亡くなっていた場合、
滅失登記はかなり難儀しますよ。滅失登記の費用も安くはありませんから、
子孫に余計な出費をさせることになります。
◆祖先がこういったトラブルの種を残したのは情報・知識が無かっただけで意図的ではなかったでしょうし、
承知していたとしても、どうしようもない理由があったのかも知れません。
今の時代は情報・知識が蓄積されていて、それらに誰でもすぐにアクセスできます。
解決方法もネットに転がっていたりしますよ。
このブログを見ている方は不動産に興味がある方や同業者しかいないでしょうから
情報が届く方が限られていると思いますが、こういう情報を蓄積していくのは社会的意義があると勝手に思っています。